根管治療を途中で一年放置した場合のリスクとできるだけ早く再開すべき理由
監修者情報
- 国際インプラント学会認定医
- 国際口腔インプラント学会
- 顎咬合学会認定医など
はじめてお越しいただく方は、歯医者に対して不安をもたれているかもしれません。
当院は常に患者様を第一に考え、不安を取り除き安心して治療をお受けいただきたいと考えています。
まずはカウンセリングを行いますので、お気軽にお口のお悩みをお聞かせください。
歯科医院では虫歯や歯周病の治療をはじめとして、定期検診や歯磨き指導、最近ではホワイトニングなどの審美治療まで、さまざまな治療が行われています。
近年、感染症の流行により、感染リスクの不安から歯科医院へ通院するのをためらわれたり、途中で治療を中断されたりした方もいるのではないでしょうか。
その中でも、とくに「根管治療」は中断するリスクが高いといわれている治療の一つです。
たしかに感染症予防の観点からいうと、ホワイトニングなどの審美性の高い治療は、必ずしも今受ける必要があるとはいえません。しかし根管治療を放置したり中断したりすることは、歯を失う可能性が非常に高まるので、できるだけ早めに治療を再開する必要があります。
この記事では、根管治療を途中で一年放置した場合のリスクと、根管治療をできるだけ早く再開すべき理由についてご紹介します。
根管治療を自分の判断で中断してしまっている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
根管治療とは
根管治療とは、いわゆる歯科医院で行われる「神経を消毒する」治療です。
歯は硬いエナメル質で覆われており、その中に象牙質、さらに中には歯髄と呼ばれる神経や血管が通っている組織があります。
進行した虫歯や歯の亀裂、外傷などによって炎症を起こしたり細菌に感染したりしたまま歯髄を放置してしまうと、徐々に歯の根っこ周辺の組織まで炎症が広がり、歯茎が腫れるなどの症状が出ます。場合によっては、リンパ節の腫れや発熱を誘発することもあるため、早めに根管治療を受けなければいけません。
根管治療は、以下のような疾患の場合に必要となる治療です。
・歯髄炎
・歯髄壊死
・根尖性歯周炎
根管治療は、痛んだ歯髄を除去する抜髄(ばつずい)という治療を行ってから根管を綺麗に清掃し、歯の根っこの内部に薬を詰めて細菌への再感染を予防します。
根管治療については、以下のページで詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。
根管治療を途中で一年放置した場合のリスク
根管治療は、自身の歯を残せる治療法として有効とされています。しかしその治療は、歯科医院で行われるものの中でも、とくに根気と時間が必要です。
根管治療が必要になるほど虫歯が進行している場合、激しい痛みを伴うこともあるため、痛みのあるうちはきちんと治療に来られる方が多いです。しかし、歯の神経を取り除いた後は痛みを感じなくなるため、通院が面倒になり中断してしまうことも。
では、根管治療を途中で一年放置してしまった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
虫歯が進行する
根管治療で神経を取り除いたあと、これまでの痛みが嘘のように消えることも多いです。しかし歯痛という症状が消えても、治療期間が完結するまでは根管の内部を完全に密閉しているわけではありません。
根管治療では、数回に分けて治療を行います。神経を抜いたとしても病変がそのまま残っている場合もあるため、そこで治療を中断してしまうと、虫歯がさらに進行したり根の内部が汚染されたりするのです。
一般的に、根管治療で消毒に使用される薬は、4週間程度しか効果がありません。そもそも治療中に仮の蓋として使用される材料も、2週間程度しか耐久性がないため、それ以上放置してしまうと蓋がもろくなり、菌の侵入を許してしまう可能性があります。
しかも、神経を取り除いた歯は痛いと感じられないので、放置している間にどんどん虫歯が進行し、さらに重篤な顎骨骨髄炎(顎の骨の内部に炎症が生じた状態)などを発症してしまうのです。
抜歯をする可能性が高まる
神経を取り除いた歯は、歯質がもろくなるため歯の根っこが割れやすく、歯根破折が起こりやすい状態です。
以下のような場合は、抜歯をする可能性があります。
・歯根破折が起きているとき
・歯根が大きくぐらついているとき
・歯根に膿が多く溜まり周りの骨を溶かす可能性があるとき
・虫歯が進行して歯の肉眼で見える部分がほとんど残っていないとき
根管治療をしている間は、もともと神経が通っていた部分が空洞になっており、力に対して非常に弱くなっています。強い力に耐えられず歯が割れてしまうと、ほとんどの場合抜歯をするしかなくなってしまうでしょう。
また、治療を放置したことによって虫歯がさらに進行した場合も、抜歯対応となる可能性が高まります。
再根管治療が必要になる
根管の中が綺麗になり、薬を詰めてから被せ物を入れるまでの期間が長くあいてしまうと、仮の蓋がもろくなって隙間ができてしまいます。
そのわずかな隙間から細菌が入り込んでしまったり、蓋が取れてしまったりすると、せっかく綺麗にした根管内が再度炎症を起こしてしまうため、治療をやり直さなければいけません。
とくに、違和感を覚えていたものの、一年以上放置してしまった場合は、痛みや腫れの症状が再発する可能性も高まります。
また、痛みはなくても治療した部分の歯肉から膿が出ている場合も、再根管治療をしなければいけないケースがほとんどです。
根管治療をできるだけ早く再開すべき理由
根管治療を長期にわたって放置してしまうと、残念ながら虫歯が進行したり、抜歯や再根管治療のリスクが高まったりすることはおわかりいただけたでしょうか。
治療が必要な歯だけでなく周辺の骨や隣の歯にまで影響が及んでしまうこともありますが、神経を取り除いてしまった歯は痛みを感じないことが多いため、それでもなかなか再度歯科医院へ行こうと思う方が少ないのも事実です。
根管治療は、歯科医院で行う治療の中でも、とくに高い技術力と豊富な経験が必要です。放置して状況が悪化している歯の場合は、なおのこと難しくなります。
ここでは、根管治療をできるだけ早く再開すべき理由をご紹介します。
治療の成功率が下がるから
根管治療の成功率は初回でも低いといわれており、治療を完結させたとしても再発する可能性があることをご存知ですか?
再感染は、根管内に感染物質の取り残しがあったり、空洞になった部分がしっかりと埋められていなかったりなど、治療の精度に問題がある場合や根尖部にまで損傷がある場合に起こりがちです。
初回でしっかりと治療を完結させた歯でも成功率が高くない治療ですから、治療を再開して再根管治療を行った場合の成功率は当然ながらさらに低くなってしまいます。
前回の根管治療で歯の根っこを埋める「ガッタパーチャ」という充填剤を入れている場合は、充填剤の周りに感染によってすでにバイオフィルムが作られており、汚れで真っ黒になっていることも。このバイオフィルムに包まれた充填剤が、根管内にへばりついて取りにくくなってしまうため、感染源を取り残してしまう可能性が高まってしまうのです。
根管の形状が複雑になってしまうから
すでに根管治療が行われたことのある歯は、手を加えられたことで本来の根管とは違う場所に道ができていたり、器具によって歯の根っこに穴をあけていたりとより複雑な形状になっていることがあります。
複雑になった根管の一つひとつを完璧に治療することは、技術と経験を兼ね備えた歯科医師でも非常に難しいため、抜歯をしなければいけなくなる可能性も自然と高まります。
歯が薄くなってしまうから
根管治療では、感染している部分を取り除かなくてはいけないため、歯が薄くなってしまうことも多いです。
初回の根管治療ですでに歯が薄くなっているところに、再度治療を行うとさらに歯が薄くなってしまうことは、想像に難くないのではないでしょうか。
では、どうすれば歯が薄くなってしまうのを避けられるかというと、やはり初回の根管治療でしっかりと治しておくことです。
歯が薄くなりすぎると、治療ができない状態になってしまいます。はじめての根管治療でしっかりと治療を行うことで、その歯を長期間保存できるかどうかや再感染が起こるかどうかが決まるといっても過言ではありません。
とはいえ、すでに治療の途中で一年放置してしまった場合は、再度歯を削ることになる可能性も高いですが、必要以上に削らないためにもできるだけ早く治療を再開した方がよいでしょう。
まとめ
根管治療を途中で一年放置した場合のリスクと、根管治療をできるだけ早く再開すべき理由についてご紹介しました。
根管治療を一年放置してしまった場合、歯を失う可能性が高まるため、できるだけ早く歯科医院で治療を再開する必要があります。
根管治療を再開するためには、まずは歯科医院でレントゲンをとってもらい、口の中の虫歯の状況などを詳しく調べてもらわなければいけません。その上で、抜歯をせずに済むのかどうか判断します。
治療の再開が遅れれば遅れるほど、歯を残して綺麗に治療ができる可能性は低くなりますので、すでに放置してしまって気になっているという方は、ぜひ本記事を参考に歯科医院へ相談するようにしましょう。
初台駅から歩いて1分のところにある「内藤歯科」では、根管治療をはじめ、一般歯科から歯周病、審美歯科や矯正までさまざまな治療を取り扱っております。
治療前には、患者様としっかりコミュニケーションをとり、治療についての疑問や不安な点を解消する時間を設けていますので、安心して診療を受けていただけます。
当院では、根管治療にはサージテル(拡大鏡)を使用して確実かつ正確に治療を行っておりますので、根管治療を一年放置してしまったなど、お困りの方はぜひ一度「内藤歯科」までご相談ください。