歯が痛いとき5
前回は、「スプリント」という装置のご紹介をいたしました。
まだまだ世の中では認知度が低い装置でして、患者様にご説明いたしましても、ご理解いただけないことが多いものですが、自分の歯を守るためには有益なことが多く、できるだけ多くの方にその有効性をご説明していきたいと思います。
咬合治療の専門医として、多くの方の治療をいたしておりますと、奇妙なことに気が付くことがあります。
その一つには、世間ではよく原因不明の歯の痛みとして扱われる、「歯根破折」があります。むし歯でもなく、歯周疾患でもないのに、ある日突然、激痛が走り歯が割れてしまい、抜歯に至ることがありますが、これにも多くの場合は「咬合」が関与していると思われることがあります。たまたま咬合のバランスが良くない場合に、ストレス性の歯ぎしりが加わることにより、過大な咬合力がかかり、歯が割れてしまうのです。この歯根破折を生じるかたは、伺ってみると、お仕事が外科医であるとか、芸術家であるとか、あるいはご家族の介護であるとか、過大なストレス環境にさらされている方が多いものです。
このストレス要因はわかっていても、環境を変えることは難しいことが多いものですので、その場合にこの「スプリント」は非常に有効度が高いものです。万人に有効なわけではありませんが、自分の歯を守るために、一度は試してみるのも良いのではないでしょうか。ご相談は、咬合治療の専門医にされるのがおすすめです。