顎が痛い原因はだけじゃない!親知らずや顎関節症の可能性も
監修者情報
- 国際インプラント学会認定医
- 国際口腔インプラント学会
- 顎咬合学会認定医など
はじめてお越しいただく方は、歯医者に対して不安をもたれているかもしれません。
当院は常に患者様を第一に考え、不安を取り除き安心して治療をお受けいただきたいと考えています。
まずはカウンセリングを行いますので、お気軽にお口のお悩みをお聞かせください。
顎が痛くなる原因を一つに絞るのは簡単ではありません。人によって症状が違うのですから、考えられる原因が異なるのも当然でしょう。とはいえ、程度の差はあっても食事をはじめ会話や歯磨きにさえ影響する顎の痛みを、ただ耐えて放置するのは考え物です。そこで今回の記事では、顎が痛む代表的な原因について3つほど取り上げてご説明いたします。
顎がカクカクしたり、違和感を感じる理由
一口に顎の痛みと言っても、「口を大きく開けた時だけ瞬間的に痛む」という人もいれば「絶えず激痛が続いている」という人もいます。だからこそ、顎が痛む原因を突き止めたい時は自覚症状がヒントになるのです。顎が痛む原因はさまざまですが、ここでは代表的な「親知らず」「虫歯」「関節」の3つを取り挙げて、その特徴や痛みが発生するメカニズムについて詳しくご説明しましょう。
痛い原因①:親知らず
顎の痛みや違和感が奥歯の周辺に集中している人は、間接的に「親知らず」が原因になっているのかもしれません。親知らずが真っ直ぐ正常に生えるには、歯茎にある程度の余裕が必要です。ですが、そもそも現代人の顎には数世代前と比べて全体的にサイズが小さいという傾向がみられます。そのため、現代人の多くは親知らずが正常に生えるために必要なスペースが最初から足りていないのです。特に、親知らずが生え始めてくるタイミングは要注意。限られたスペースの中で周囲の歯や歯茎などを圧迫しながら生えてきますので、顎の痛みを訴える人も珍しくありません。虫歯もないのに顎が痛かったり違和感を覚えたりする場合は、まず親知らずが生えてきていないか確認してみましょう。
中でも厄介なのが、咬み合わせに悪影響を与えるタイプの親知らずです。横向きに生えてきた親知らずがぶつかって隣の歯を圧迫している、たとえ見えなくても歯茎の中に埋もれているケースなどは咬み合わせに不具合が起きやすく、結果的に顎までダメージを負ってしまいます。つまり、咬み合わせが悪い人は痛みを避けようとかばうため、右側の咬み合わせが悪い人は左側だけで、左側の咬み合わせが悪い人は右側だけで咬む食べ方がクセになり、食べやすい方だけを酷使してしまうのです。
もちろん、負担が蓄積してダメージを負うのは顎の骨だけではありません。噛むときに使う筋肉をはじめ顎関節への負担も高く、中には口が開けにくくなり「あくびをする度に緊張する」「歯磨きが怖い」という人も多いようです。だからこそ、多くの専門家が食べやすい方だけで食事をしている期間が長い人ほど、顎関節症を発症するリスクも比例するように高まると警鐘を鳴らしているのでしょう。
痛い原因②:虫歯ができたせい
顎に痛みを感じた時、真っ先に奥歯の虫歯を疑う人も多いでしょう。顎の痛みに対して親知らずが間接的な原因である一方、より直接的な原因と言われているのが虫歯による影響です。虫歯による痛みの原因はさまざまですが、特筆すべきは人の首から上の部位に感じる痛みは三叉神経に関連しているケースが多いという点でしょう。三叉神経の先が「脳神経」「上顎神経」「下顎神経」へと三つに分岐していますので、顎の痛みとして症状が現れやすいのです。下顎神経が傷つくと顎の痛みだけでなく、咀嚼や舌の可動域といった運動機能や食べ物の温度を感じ取る感覚機能にまで影響を与えかねません。
たとえば、顎の骨にたまった膿が徐々に腐っていく「顎骨骨髄炎」という病気は、奥歯に発症しやすいという特徴から代表的な自覚症状として顎の痛みが挙げられています。歯根の中の炎症が広がって顎の内部である骨髄まで侵している状態、と言った方がイメージしやすいかもしれません。顎の痛みに加え発熱や倦怠感、下唇の感覚が鈍くなったり歯がグラグラと揺れて脈を打つように痛んだり、具体的な症状が重複しているようなら顎骨骨髄炎を発症している可能性があります。
同じく、虫歯の炎症が歯根にまで広がり膿が溜まる「根尖性歯周炎」や根尖性歯周炎が慢性化して膿が袋状になる「歯根嚢胞」も、顎が痛む代表的なケースです。局所的な顎の痛みをはじめ突発的な激痛や歯が浮くような感覚など自覚症状に共通点が多く、歯根嚢胞まで進行してさらに悪化すると顎の骨が溶けるだけでなく、強い口臭に悩まされる人も少なくありません。急に口臭が強く変化したように感じる場合は、歯根に溜まっていた膿が穴の開いた歯茎から口内にまで排出している可能性が高いと考えられます。
痛い原因③:関節のせい
関節の不具合も顎が痛む原因の一つですが、中でも代表的なのが「顎関節症」でしょう。根本的な原因としては外傷をはじめ歯並びや咬み合わせの悪さなどが挙げられますが、くいしばりや歯ぎしりも要因に含まれているのが特徴です。そのため、顎関節症の検査では通常の問診や触診に加えて生活習慣やストレスの程度まで広範囲にわたって詳しく聞かれることも珍しくありません。顎に痛みが現れる原因は数多くありますが、ストレスとの関連性が深い特殊なケースである反面、二人に一人は経験すると言われるほどポピュラーな病気として知られています。
顎関節症による顎の痛みは人によって差があり、顎が疲れる程度という人もいれば顎を動かす度に筋肉が痛むという人、痛くてあくびができない人もいます。中でも特徴的なのが、口を大きく開けた時にガクンと音がする点でしょう。音がするからと言って全ての人が痛みを感じるわけではありませんが、耳と顎関節の距離が近い分だけ煩わしく感じる人が多いようです。
放置せずに専門家に相談しよう!
歯医者で治療を受けて痛い思いをするとトラウマになりがちですが、だからと言って顎の痛みを放置するのは考え物です。場合によっては、顎の痛みによって十分に咀嚼できずに内蔵が弱ってしまったり睡眠不足になったりと、二次的なリスクにつながり兼ねません。確かに時間の経過とともに自然と治まるケースもありますが、専門家に相談したうえで正しい処置を受けるのが根本的な解決への近道です。